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【実験50】誘 惑(ゆうわく)

 人でも動物でも、その行動がいろいろのものに誘惑されておこることがあります。たとえば、大勢の人が、1つの方向に走っていくのをみたとき、その方向に何かあるような気がして自分もその方向に走っていってみたくなるでしょう。また服でも、髪型でも、新しい流行があると、多くの人がまねをします。動物も、その環境に誘惑されて行動することがあります。その誘惑のしげきは光であることも、においであることも、音であることもあるでしょう。においによる誘惑としては、またたびのにおいをかいでおこるネコのび態は、まことに不思議なものですね。一度ためしてごらんになると面白いですよ。昆虫のフェロモンもとても面白いものです。昆虫の本をよんで学んでください。音による誘惑としては、美しい音楽にさそわれて出てくるネズミの話をきいたことがありますか。おとぎ話のようですが、実際に経験した人もあるようです。

 ここではメダカを使って、光しげきによって実験してみましょう。メダカを入れたガラス水そうを、第25図のように上からつりさげます。この水そうをとりまいて、ボール紙で円筒をつくり、その内側を、第25図のように、黒と白のしまもようにします。しまの巾は適当でよろしい。この円筒を、何でもよいから、回転する台の上にのせてください。あまりはやく回転するものは困りますが、学校なら、化学教室にある、手廻し円心器のようなものを利用してもよいでしょう。そしていろいろのはやさで回転してみてください。メダカの入った水そうは動かないのに、しまもようが動くにつれて、メダカがそれを追うように、同じ方向に回りはじめるでしょう。メダカはしまもようの回転に誘惑されたのですね。回転のはやさをだんだんはやくすると、メダカもだんだんはやく泳ぎますが、あまりはやくなると、しまもようが、もうしまにみえず、一様な灰色にみえるようになります。このようになると、メダカももうしまもようを追わなくなり、回るのをやめてしまいます。おそらくメダカの眼にも、しまもようにはみえなくなっているのでしょう。この実験は、メダカによって個体差があり、よく反応するメダカもあれば、ほとんど反応しないメダカもあります。ちょうど人でも、よく流行をおう人もあれば、まったく無関心の人があるようなものでしょう。


参考:誰にでもできるメダカの実験
竹内邦輔著、新光印刷株式会社、名古屋 (1981)

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