そこでみんなの質問。なぜメダカは朝早くタマゴをうむのですか?
それにはメダカはどうやって、朝がきたことを知るか、これをはっきりさせる 必要がある。そのためには次のような実験してみればいい。
一番簡単な方法はメダカの水槽を前の日の夜に真っ黒な布でおおってやって、 次の朝、この布をとってやって水槽を明るくする。そのときすでにメダカがタ マゴを産んでいれば、メダカは明るさで朝をしるのではなく、別の方法で朝を 知ることができることをしめしているし、布をとってからタマゴを産めば朝の 光で朝がわかることになる。そしてもうこれらの実験は昔の研究者が実験して いて、たしかに光で朝を感知していることがわかっている。さらに暗室のなか で照明をあてて昼と夜とを逆転してやると、やはり明るくなる時にタマゴを産 むようになる。だからメダカの産卵時刻は完全に光の周期に支配されている。 それでは朝だけ決まったようにタマゴを産んで明るい昼間いつもダラダラと タマゴを産まないのか?これを知るためにやはり色々実験したひとがいる。
真っ暗な暗室の中にメダカをいれ、人工的に照明時間をコントロールしてみ る。明期と暗期を21、18, 15, 12, 9, 6, 3 時間 と変え24時間周期 の照明時刻予定表を作る。まったく照明しないで真っ暗のなかでかうもの、ず っと24時間中明るくして飼うものなどもつくる。こうしてどの水槽にも毎朝 産卵しているメダカをいれてやり、約1週間後メダカが新しい環境になれた時 に結果を比較する。
その結果、
(1)明期の長さが変わっても基本的にどのメダカも光があたって一時間以内 にタマゴを産む。
(2)しかし暗い時間が長すぎると、点灯をまたずに産卵がはじまることがある。
(3)暗い時間があまり短いと、点灯時間になっても産卵しないことが多い。
という結果になった。このことと、メスのメダカの卵巣の解剖から暗い時間に 産卵準備がおこり、翌朝うむための卵の準備には暗い刺激が必ず必要であるこ とがわかってくるのです。卵を産むことはメスにとっては重労働です。夜中に 卵母細胞は急成長し1mmほどの大きさになるのだが、それまでにその準備に 数時間かかる。その準備の開始が夕方で、周囲が暗くなり、それを知ったメ ダカがほとんど動かなくなったときなのだ。暗くなることが次の朝のタマゴを 作るために必要なのだ。
もう一つ朝しか産まない理由がある。それはオスの役割である。朝、明るく なってもメスだけではタマゴは産まれない。オスが朝起きて、メスの大きくふ くらんだお腹をみて興奮し、メスの腹を刺激すると初めて産卵するのだ。オス も朝にタマゴを産むことに一役かっているのだ。
それでも納得しない人へ。
このように朝はやくタマゴを産むことができたメダカが、効率よく沢山の子孫 をのこせ、結果として現在も生き残ってきたのだろう。
念のために付け加えておくが、人工的に照明時間をコントロールしてやる実験 では少々暗い時間を長くしてやっても最初のころはタマゴを産む。しかしそれ が長くなって3週間も4週間もつづくとやがてタマゴをうまなくなる。これは メダカには丁度よい日照時間があるためだ。それは明期が14時間、暗期が 10時間、このくらいだと、ちょうど6月ごろの日照時間で、いつまでもタマゴを産んでいる。
以上は 江上信雄(「メダカに学ぶ生物学」中公新書)を参考にした。